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大阪人間科学大学准教授 森 園 忠 勝
風はまだ冷たいけれど、太陽の光が少しずつ暖かくなって、いよいよ春がやってきましたね。今年の冬はとても寒かったから、春が来るのを待ち遠しく思っていました。
寒い冬の間は、どうしても暖かい部屋にこもりがちですが、今は外もずいぶん暖かくなってきたから、子どももおとなも部屋から外に飛び出して、お日様をあびて遊びましょう。
私は小学6年生まで岡山県の田舎町で育ちました。海も山もすぐ近くにあって、一日中遊んでいました。春には、ため池の浅瀬に大きなコイが産卵のためにやってきます。いつごろどの浅瀬にコイが来るのか、そのコイをどうやって捕まえるのかは、近所に住む4歳年上のヤッチャンに教えてもらいました。ヤッチャンはガキ大将で、山でも海でも遊びのことは何でもよく知っていて、年下の子どもたちのヒーローでした。昔はどの町にもヤッチャンのようなガキ大将がいて、子どもたちは上級生から下級生まで、時には幼稚園児も入って、一日中群れて遊んでいました。大勢で遊びながら、知らず知らずのうちに大切なことをたくさん学んでいました。
みんなで遊ぶためには、ルールやきまりを守らなければなりません。ルールを破る子どもは、遊び仲間に入れてもらえないから、ルールやきまりをきちんと守ることを身につけました。でもゴマメと呼ばれる幼い子どもは、遊びのきまりを守らなくても許されます。群れ遊びの仲間には、きまりがわからない幼い子でも一緒に遊ぶやさしさと知恵がありました。年上の子どもは幼い子の面倒を見ながら遊び、年下の子どもはそんな先輩を見て、自分も大きくなったら幼い子にやさしくしようと思ったのです。たくさんの遊びは、大きい子から幼い子に次々と繰り返し受け継がれていきました。
「鬼ごっこ」「缶けり」「Sけん」「たんてい」「ドンマ」などの遊びを暗くなるまで、どろんこになりながらやっていました。走ったり、ころんだりするうちに身体は強くなり、上手なころび方も身につきました。群れ遊びが減り始めたのは、40年ほど前からと言われています。今の子どもの体力は40年前の子どもと比べると、ずいぶん低くなっています。昔の子どもは、遊びながら身体をきたえていたことがわかります。
子どもたちの毎日は、40年前とはずいぶん変わりました。今の子どもたちは、塾や習い事などですごく忙しいようです。高学年から低学年まで大勢で遊ぶことは、今ではむつかしいことでしょう。そして大阪の町の様子もすっかり変わってしまいました。40年前には大阪市内でも、あちこちに空き地や広場があって子どもたちの遊び場になっていましたが、今の大阪で子どもたちが安全に遊べる場所は、校庭や公園などに限られます。大勢の子どもたちの群れ遊びをとりもどすことは、簡単にはできません。しかし、今の子どもたちには昔のような群れ遊びが必要です。
まずできることは、一度、できるだけ大勢で外で遊んでみることです。どんな遊びがあるのかは、おうちの人にたずねてみるのもいいでしょう。たとえば、地域の子ども会の行事で群れ遊びをしてみてはどうでしょう。おとなが子どもに群れ遊びを教えるのです。おとなも子どもも混じって、群れ遊びの楽しさを体験してみましょう。春休みは、群れ遊びを体験するチャンスかもしれませんね。
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