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草木遊び塾 主宰 松井 鴻
野山を歩く楽しみには四季折々の趣がありますが、なかでも秋の野山は格別なものがあります。黄金色に輝く田圃、風に揺れるススキ野、見事としかいいようのない紅葉した里山風景、どれも日本人の心に深くかかわった風景です。これらは「こどもたちに見せてあげたい百選」として推奨したいものばかりです。秋の一日、家族ですばらしい秋を見つけてください。
さて、秋の里山の風景をいっぱい楽しむことがまず第一ですが、もっともっと秋の空気を身近に引き寄せるには、「遊ぶ」という具体的なことを通して、秋を体感することが大切なのではないでしょうか。小さな遊び体験の積み重ねが、人の心に大きな宝ものをもたらしてくれるのだと思います。
しかし、秋の自然と遊ぶといっても、その「遊ぶ」ことがなかなか難しいものになっています。「遊べなくなったこどもたち」という言葉に代表されるように、特に自然のなかで遊べなくなっているのが現実です。こどもたちだけではなく、大人自身も自然とどのようにかかわり、どう手を出したらいいのかわからなくなっているようです。
そこで、その手がかりとして、かつて自然豊かな中で遊び育ったこどもたちの「遊び文化」を、もう一度見つめ直すことも一つではないでしょうか。実際に、かつてのこどもたちの遊びごとを再現してみますと、「よくもこんな遊びを考えたものだ」と感服の連続です。私は、こうした遊びの文化はいつまでも引き継がれなくては、と思います。本来、伝承遊びはこどもからこどもへと受け継がれる豊かな文化なのですが、急激な社会変化のなかでこうした遊び文化は途切れてしまいました。
ここでは、伝承遊びの中から秋の草花の一つ「ススキ」の遊びを紹介します。ススキはカヤ葺屋根に使う、なくてはならない有用植物で、身近なものでした。それだけに色々な遊びが生み出されました。
さぁ、秋の野に出て、ご家族で楽しんでみませんか。
◇ススキの箸
まず、はじめに紹介するのは「箸」です。ススキの根元の充実した茎を切り、爪先で皮をはぐと、瑞々しい美しい箸になります。ぜひ、秋の野山で弁当を広げ、このススキ箸で食べてみてください。どんなに美味しいことか。かすかに甘い香りと、野の匂いがします。ある地方では、お正月にこの箸を使うのだそうです。
◇ススキの矢飛ばし
次に、こどもが喜ぶ遊びに「矢飛ばし」があります。幅広い葉を選び、切り取った根元から主脈にそってさき、左手の親指と人差し指でさいた葉を軽くつまみます。次はその葉を右手でもち、勢いよく空に向けて引っ張るのと同時に、左手を上に跳ねるようにしますと、山の頂から矢は天高く飛びます。こどもたちには大人気です。
◇ススキの傘
「傘」は、節から1〜2pぐらいのところを切り、切り口からナイフで縦に六等分に割り、外側に折ります。茎を持って上下すると、傘が開いたり閉じたりします。この動きには、大人でも感動します。
◇ススキのフクロウ
「ススキのフクロウ(ミミズク)」は、東京雑司ヶ谷の郷土玩具で、穂が枯れるとふわぁとしたかわいいものになります。ススキの穂をまとめて折り返し、頭を作った周りにまたススキの補をあてて折り返すと体ができます。顔は、穂の根元で耳、茎でクチバシ、クヌギの殻斗で目を作れば完成です。
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